Senatch's LABO

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

夢の記録「零(ゼロ)の國」

そこは古びた酒造だった。
老人がほそぼそと語ったその村は、
その酒造くらいしか今は誰も知らぬのだという。

その幻の村を、老人は「零の國」と呼んだ。
「これじゃ、村の神に捧げる特別な酒だ。
頼んだぞ」

そう言われて手にとったラベルの無い酒瓶二つ。
私たちはそっと受け取ると、
同じものを試飲できるか聞いてみた。

「なんね。これは神の酒だ。人の口にするものではねえ」
と断られた。
実際のところ、美味いかどうかもわからないらしい。

酒造を後にして、ロープウェーを乗継ぎ、
酒瓶を入れたリュックサックを背負いながら山道を歩くと、
深い緑をたたえた山の中に、大きな朱塗りの鳥居と村落が見えてきた。

これが、零の國、か…。

荷物をおろして一息ついていると、
鳥居の向こうの社から、巫女のような赤い袴の少女がひとり出てきた。

「ここは開かれた村ではありません。旅の方、どうかお引取りを…」

困惑して、どう答えたらいいものやらわからず、
「あの、これをお持ちして…」と
酒瓶を見せた。
すると少女の表情が変わり、

「失礼をしました。どうぞ、こちらへ」と
社の中へと案内されたのだった。

「尊いお酒をありがとうございます。これで祭事が執り行えます」
少女は礼を言うと、冷たいお茶を差し出してくれた

天気が良く、外ではどこかで子どもたちが遊ぶ声がしている。
しかし大人の姿はなく、社の中は静けさが支配していた。
いい村なはずなのだが。
なんとなく誰かに見られているような、
そんな居心地の悪さをふたりとも感じていた。落ち着かない。
世間話もそこそこに、早めに帰ることにした。
他所ものは長くここに居てはいけない。本能が告げていた。

帰り道、ロープウェーの中から村の方角を振り返った。

零の國は、もう見えなかった。

---------------

皆さんは、隠れ里というものを見聞きしたことがありますか?
わたしは、夢の中で何故かよく遭遇するのです。
これも、その中のエピソードの一つです。

あれは、初夏に見た、ひとときの幻だったのか。
今ではもうその記憶もあまり定かではない。
なぜならもう、そこには二度と辿りつけないのだから。
もしかしたら、拒まれているのかもしれない。

スポンサーサイト

日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| ホーム | Happy Halloween>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。